メルカリで格安で手に入ったcannondale CAAD10フレーム。
しばらく乗って感覚が掴めてきたのでインプレッションを。
カーボンバック+カーボンフォークのCorratec R.T.Forciaからフレームのみ載せ替えたインプレです。
また、筆者(私Takotani)はメインバイクとしてKUOTA KEBELというカーボンバイクにも乗っています。
自転車のレビューというのは中々定量的かつ絶対的評価が難しく、定性的かつ相対的評価にも含みます。
3行まとめ
忙しい人の為に3行でまとめます。
・アルミバイクなのに軽量高剛性、当時のアルミ最高峰であり「カーボンキラー」の異名を持つ名作
・剛性感の高さから分厚い鉄板に跨っている感覚
・振動吸収性の低さに目を瞑れば大体のことはできる優等生
こんな感じです。
CAAD10とは
CAADとはアメリカの自転車ブランド「cannondale(キャノンデール)」が展開するハイエンドアルミロードバイクのモデル名です。
「CAAD」と書いて「キャド」と読みます。
CAADってなんだ、といいますと、
Cannondale
Advanced
Aluminum
Design
Computer
Assisted
Design
のダブルネーミングだそうです。
ーhttps://blog.cbnanashi.net/2019/05/8725より
Computer Assisted Design(=CAD=キャド)に関しては一般用語ですね。
アルミロードといえば「入門用」とか「鉄下駄」という認識を持たれている方も多いはず。
そう、なぜなら多くのメーカーが、ブランド戦略としてローエンド・入門用にアルミロードバイクを位置づけているからです。
完成車で~10万円+α程度の価格帯でしょうか。
cannondaleも同じく、フルカーボンフレームのSuperSixシリーズをその上位機種として位置付けてはいますが、モデルによってはCAADシリーズとSuperSixシリーズの価格が逆転しているものもあります。
なぜか?
cannondaleが
本気でハイエンドアルミロードを作る狂気じみたメーカーだから
です!!!(主観かつ褒め言葉)。
私のバイク構成
インプレ現在(2022年01月XX日)の構成は下記です
フレーム | cannondale CAAD10 52サイズ (2010-2011年式) |
ハンドル | Deda Zero 1 アルミハンドル |
ステム | DIXNA リード ステム 100mm |
デュアルコントロールレバー | SRAM FORCE22 ダブルタップ |
ブレーキキャリパー | SRAM FORCE22 |
F/Rディレイラー | SRAM FORCE22 |
クランク | SHIMANO ULTEGRA FC-6800(左クランクにStagesPower) |
カセットスプロケット | SHIMANO ULTEGRA CS-R8000 |
ホイール | Fulcrum Racing 5 LG |
タイヤ | Vittoria Rubino Pro 25C |
※ULTEGRA BR-6700をインストールしていました(写真に一部混ざっています)
特に軽量化は意識していないのですが、この構成で8.0kgでした。
また、このあと振動吸収性の低さと乗り心地の悪さについて散々言及していますが、振動吸収性のいいフルカーボンホイールを使用することで幾ばくか乗り心地はよくなることを確認済みです。
変速系とブレーキキャリパーこそSRAM FORCEをインストールしていますが、基本的には「お金あんまり掛けない通勤号」がコンセプトです。
クランクはパワーメーター(と資金)の都合上ULTEGRAを継続使用していきますが、アメリカンバイク代表のようなフレームに同じくアメリカの自転車コンポーネントであるSRAMを組み合わせ、最終的には日の丸カラーに仕上げるというチグハグ感(?)が気に入っていたりします。
日の丸ううううう最高ううううう!!
CAAD10 外観の特徴
それでは各部の特徴を見ていきましょう。
目立つのは前三角のボリュームでしょうか。
上下異形ヘッドを採用しています。ベアリングの準備が面倒なので正直やめて頂きたいところ。
ヘッド側にボリュームを持たせたダウンチューブ。
横方向に扁平し中央部がボリュームアップされているトップチューブは剛性と乗り心地向上を狙っています。
振動吸収性を上げた(と言われている?)後ろ三角。
今でこそ当たり前となっている左右異形のチェーンステーも当時としては特徴的です。
CAAD10のシートステーは「SAVEステー」と呼ばれているのですが、これはパイプ成型時に縦方向に扁平させ縦の振動吸収性を確保する技術、だそうです。
いったい何をSAVE(守る?)するんだろう、と思いましたが、
SYNAPSE
Active
Vibelation
Elimination
の略だそうです。
SYNAPSEはcannondaleが展開するコンフォート系ロードのモデル名です。
CAAD10の前身となるCAAD9には「アワーグラスシートステー」が採用されています。これはシートステーをアワーグラス(砂時計)形状にすることで振動吸収性を向上させる仕組みの模様。
BBカップはcannondaleが提唱するBB30規格を採用していますが、私はこの世の圧入BBはすべて滅んでしまえばいい党の代表なので、秒でFSAのスレッドBBアダプターを挿入しました。SHIMANOのネジ切りBB最高です。
フレーム素材には6069T6アルミチューブを使用。
アルミハンドルやステムの商品説明にも登場するこのアルミ素材の番手、よくわからなかったので調べてみました。
1000番台 | 純粋なアルミ金属で、アルミ純度99%以上のものを指す。耐食性や熱伝導率、導電性に優れる一方、アルミ素材特有の粘りがあり強度が低い。 |
2000番台 | いわゆるジュラルミン合金。アルミに銅を多く含有することで高い強度を誇る。銅の特性から酸化しやすい。また、通常のアルミ以上に溶接が困難。 |
3000番台 | アルミにマンガンを加えることで強度を上げつつ耐食性を向上させた合金。アルミ缶や電球の口金に使用される。 |
4000番台 | アルミにシリコンを加えることで耐熱耐性と耐摩耗性を向上させた合金。熱膨張が少ないため鍛造ピストンなどに使用される。 |
5000番台 | アルミにマグネシウムを加えることで耐食性と強度を向上させた合金。切削加工に向き、船舶や車両などに広く使用される。 |
6000番台 | アルミにシリコンとマグネシウムを加えることで5000番系のアルミと比較して更に耐食性や強度を向上。溶接等に弱く熱を加えることで溶接個所以外にも熱が広がり周辺部位まで強度低下を起こしてしまう可能性がある。 |
7000番台 | アルミに亜鉛とマグネシウムを加えることで全アルミ中最高硬度を誇る。代表としてA7075が挙げられ、超超ジュラルミンと呼ばれる。 |
今回使用されている6069は6000番手の中でも強度はかなり高いが加工が難しい(のと合金の含有量から高級パイプと言われている?)、という感じみたいです。
この辺は門外漢なのでこれくらいにしておきましょう。
各所に(発売当初としては)最新の技術を仕込みつつ、全体的には「王道のフレーム形状」となっているのが特徴です。
ホリゾンタルに近いトップチューブも好印象です。
インプレッションー目立つのはその「硬さ」
このバイクに乗ってみて思った第一印象は「かったい(硬い)」でした。
とにかく縦にも横にも剛性が高く、「分厚い鉄板に乗っているような感覚」を覚えたのと同時に、路面インフォメーションをあまりに細かくお尻に伝達してくるので「パンクした」と勘違いした場面があったほどです。
剛性の高いバイクは「スッと踏めばスッと進む」という気持ちいい特性も持っており、「ダイレクトかつストレートな乗り心地がとても楽しく気持ちいい」自転車に仕上がること請け合い。
ところで。
自動車のハンドルにしても自動車・バイク・自転車のブレーキなどにしても「遊び」ってあるじゃないですか。
例えば自動車のハンドルの遊び。
あれがない自動車を想像してみてください。ドライバーの細かい手の動きにタイヤの左右の動きが追従してしまい、とても神経質な乗り物になってしまわないでしょうか。
CAAD10の剛性については、まさに「遊びのない硬さ」だと感じました。
乗り手のペダリングをダイレクトに推進力に変えるというのは聞こえはいいのですが、「遊びがない」とも言えます。
つまり、ペダリングのリズムや癖などもダイレクトに推進力に繋がってしまう為、下手くそなペダリングだとうまく進ませられないのではないかな、と。
そのピーキーさがとてもおもしろい部分でもあります。
インプレッションー振動吸収性?何それおいしいの?
SAVEシートステーで振動吸収性を・・・というコンセプトですが、いやはやまったく振動なんて吸収してないように思います。
SAVEシートステーじゃないCAAD10に乗ったことがない(当たり前ですが)のでなんともですが、とにかく振動で疲れます。
上述のようにあまりに細かい路面インフォメーションを伝えてくるので「うわ、パンクした」と錯覚したこともあります。
ここまでの特性を考慮した上で、ここからはシチュエーション別にインプレッションをしていきます。
シチュエーション別インプレッションー街乗り・ポタリング
おすすめ度:★★★☆☆
可もなく不可もなくです。
街中でも気持ちよく走れるとは思いますが、Stop&Goが多くなることを考えると、街乗り区間があまり長くなると脚がかなり削られていくと思います。
また、街中は場所によっては悪路も多く、後述するように悪路にはまったくもって不向きなのでそのあたりの考慮も必要です。
シチュエーション別インプレッションー平坦巡行
おすすめ度:★★★★☆
エアロ性能はそこまで高くないフレームですが、その剛性の高さから低ケイデンスでも高ケイデンスでも気持ちよく巡行できます。
「踏んだ分だけ進む」
というフィーリングを味わいながらの至高の時間となるでしょう。
基本的に平坦巡行にはとても向いているフィーリングですが、フレームそのもののエアロ性能という意味で★-1しました。
シチュエーション別インプレッションースプリント
おすすめ度:★★★☆☆
スプリントに関しては乗り手と状況によりけりだなと思いました。
前述の通り、ペダリングスキルに対しての遊びが極端に少ないため、スプリントフォームが得意ではない方や、疲労状態で正しくペダリングができない状態では思ったように推進力が得られません。
つまり、下手なペダリングだと進みません。
ちゃんとテンポとリズムとフォームの整ったスプリントができれば爆発的な加速を得られると思いますが、私の場合は疲労状態でのスプリントはテンポとリズムが悪く、この自転車をしっかり進ませることができませんでした。
ペダリングに対して懐の深いフレームだと、テンポやリズムに関してはある程度の許容度を持っているので、「疲労状態のスプリントに自信がない」人はもう少し剛性の低いフレームをおすすめします。
そういう意味で可もなく不可もなくの★-2ですが、このフレームをうまく型に嵌められる人には鬼に金棒と思います。
シチュエーション別インプレッションーアップダウン
おすすめ度:★★★★★
短い坂でのアタックに必要な瞬間的な爆発力や、短い登りをしっかり踏み切る為の剛性を十分に持っています。
また、下りに関してもテクニカルなコーナーも得意なので、このバイクはアップダウンにはとても向いています。
シチュエーション別インプレッションーヒルクライム
おすすめ度:★★★★☆
発売当初は超軽量とされたフレームではありますが、今となってはミドルクラスでもありふれた重量となっています。
剛性を十分に持ち合わせている上に比較的軽量な為、ヒルクライムには向いています。
シチュエーション別インプレッションーダウンヒル
おすすめ度:★★★★★
剛性の高さから、コーナリングでは狙ったラインを針の穴を通すように走れます。
下りのコーナリングが本当に楽しいバイクです。
ただ注意としては振動吸収性が低いため、路面段差をライダーに伝えやすく、荒れた下りでは注意が必要です。
シチュエーション別インプレッションーロングライド
おすすめ度:★☆☆☆☆
疲れます。向いてません。
「この自転車で200km余裕です。ロングライドもできます」
というレビューも見受けられますが、おそらくどんな自転車に乗っても200kmくらいは余裕な「頭のネジが数本吹っ飛んだ人」なのだと思います。
そもそも200kmという距離は「頭のおかしい領域に足を踏み込んだローディが走るもの」です。
シチュエーション別インプレッションー悪路
おすすめ度:★☆☆☆☆
2022年現在グラベルロードが流行して幾ばくか経ちます。
グラベルは自然が色濃く残されており、そこをロードで走り抜ける爽快感は格別のものがありますが、CAAD10で悪路はおすすめしません。
アルミフレームなので傷や凹みには強い、という意味ではグラベルに躊躇なく突っ込んでいけるかもしれませんが。
最後に・・・注意も必要
基本性能が非常に高く、遊びこそ少なくペダリングスキルに対してピーキーな特性を持つものの、乗って楽しい、見てかっこいい稀有なバイクだと思います。
ただし、注意点もあります。
CAAD10の前期型(2010-2011)に関しては発売から既に10年以上が経ちます。
その中で、ディレイラーハンガーやケーブルガイド、ヘッドベアリングなど特殊な規格・サイズのものも多く、入手が困難となっているものもあります(現に、ディレイラーハンガーとケーブルガイドはとても高くつきました・・・)。
ある意味「旧車」の領域に入りかけているので、フレーム単体なら当然のこと、完成車を買う場合も「レストアの覚悟」が必要と思います。
また、後期型についてはケーブルルーティングが変わり、リアブレーキケーブルをヘッドの正面から受けるような形になっており、ルーティングがとても難しいと聞いたことがありますので後期型を手に入れる場合はそういった点もご注意ください。
レストア時のパーツ達
購入してインストールしたヘッドベアリングとスレッドBBアダプタを(自分自身の備忘録兼ねて)貼っておきます。
ディレイラーハンガー:KP158型(ただし固定ボルトが飛び出してスプロケのロックリングに干渉した為、ボルトをサンダーで削った)
ケーブルガイドはこれ↓
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